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妄想が初期装備(外れない)な、もういい大人。
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俺は何故化け物なのだろうか。

子供の頃から抱きつづけた疑問。
家族に似たような者はいないし、数少ない友人(たまにその括りでいいのか悩む)
である闇医者からは【突然変異】とされた。

何故俺だったのだろうか。

何故こんな力が備わってしまったんだろうか。

何故傷つけたくなくても、傷つけてしまうのだろうか。

何故俺はこんなにも、化け物なのだろうか。


いつしか自分は己の力を恐れて、仕事以外では
「自分の事を解っていて、自分に傷つけられるのを回避できる人間」としか
話をしなくなっていた。(あとは「傷つけても問題ない」あの蟲くらいか)

それなのに。

「平和島さん、あの、よかったらよそいますよ。何がお好きですか?」

目の前にはぐつぐつと美味しそうに煮えている鍋と、いかにも草食系の少年。

セルティに鍋に誘われて来てみれば、思いも寄らぬ大所帯。
まさかこんなにいると思って無かった俺はすぐに帰ろうと思っていたのだが、
主催者に押し留められる形で席についていた。

俺は自分が何の弾みでキレて暴れ出すかわからない。
もしそんなことになってこの鍋パーティーを台無しにしたら、
俺は数少ない友人を失うに違いない。

(いいか、俺。無心になれ。スイッチを押されても気付かなければ発動しまい)

それができていれば世話はない事を、必死に言い聞かせていた俺に
目の前の少年は声をかけてくる。

(やめろ、話し掛けるな)

そう思っていたのに、まさか見知らぬ少年に、好意的に声をかけられるとは思ってなかったので
つい嬉しくなって反応してしまった。(それくらい珍しい出来事なんだよ)

「ああ、じゃあ頼むわ」

すると少年はぱっと顔を明るくして、「はいっ!」と椀によそいはじめた。

「きらいなものはないですか?」
「大丈夫だ」

そう答えると、まんべんなく具材をきれいに盛り付けて渡してくれた。

…そんじょそこらの女よりも洗練された動きなんじゃねえかこれ。

母親以外にこのような経験がないのでなんとも言えないが、少なくとも自分にはできない。
手渡された椀を見ながらそう思う。

「ありがとよ、ところでお前、名前は?」

聞いてどうする、とも思ったが知りたくなったので聞く。

「あ、えっと、竜ヶ峰帝人っていいます」
「竜ヶ峰…すげぇ名前だな。俺は…って知ってるか」
「はい、平和島静雄さん、ですよね」
「おう」

知っているならば何故。

「お前、俺が怖くねぇのか」

近付いてくるんだ。

一瞬きょとん、とした竜ヶ峰は、ちょっと考えて

「…えっと、僕、怖くは、ないです。かっこいいなぁ、とは思ってます。
あの…もしかして話し掛けたの迷惑でしたか?」

と逆に質問してきた。
俺は「怖くない」という反応(しかも本気で言っている、これは)に一瞬思考停止して
答えるのが遅くなった。

「や、迷惑じゃないけどよ…お前少しは怖がれよ」

「なんでですか?」

(なんでって…)
今目の前に居るこいつは生物的に致命的欠陥があると思う。
なんだかライオンの前で暢気にしているウサギの絵が浮かんだ。

「そんな風にぽやっとしてて、突然自販機に潰されてもしらねぇぞ」

何しろ自分に制御が効かないのだ。
災害に似ている自分の力は、周りに気をつけてもらうしかない。
他人任せで大変申し訳ないが。

ある日うっかりコイツに危害を加えてしまったら、と思うと俺は恐ろしくなる。

「大丈夫ですよ」
笑いながら、竜ヶ峰が答える。

(何が大丈夫なものか)

きっとコイツはいい奴なんだろう。
俺が化け物でなかったら、仲良くなれていたはずだ。

ただそれじゃぁ駄目なんだ。
俺は化け物だから。俺が触れていいのは
俺の力を自力で回避できる奴だけ。

過去に傷つけてしまったあの人が浮かぶ。

もう大事な人間を作りたくない。

傷つけるのが、怖いから。

傷つけて、嫌われるのが、怖いから。



「だって平和島さん、ちょっと力持ちな優しい“普通の人”ですもん」



「………は?」


「気に障ったら怒ってもらって構いません。“普通”みんなそうです。
僕、池袋に来た時、親友から貴方の事を聞きました。

【絶対に近付いちゃいけない人間】だって」

(そりゃ、お前の親友は正しい)

「でも逆にそんなこと言われたら気になるじゃないですか。
だから僕あなたの事見に行ったんです。」

(こいつ「好奇心猫をも殺す」って言葉しらねぇのかな)

「僕が見たのは、気持ちよさそうに日向ぼっこしてるあなたでした」

「………」

「怒ってる時も見たことあります。でも怒ってる理由は怒るに足るものだったし
折原さんに至ってはあれ、完全に挑発してたし怒るの当然っていうか」

「お前…!臨也の野郎を知ってるのか!」

「ええ、まぁ向こうが話し掛けてきたんですけど」

この俺を怖がらないコイツが、あのノミ蟲の危険性に気付いているとは思えない。

「もう話し掛けてきても反応するな。何に巻き込まれるか知れたもんじゃねぇ」

「ううん…でもあの人構わないとしつこいんですよ。この間は放課後ずっと追いかけられましたよ」

(何で臨也の野郎はコイツにつきまとってるんだ…??)

「とにかく、平和島さんは普通だと思います。きっと貴方自身が思っているよりもずっと」





長くなるのでここで一旦切ります…


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