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【無色透明の彼】

01:「赤心の刃」(杏帝)

              愛し
ふと、無性に彼を赤く染めたい、瞬間がある。


「園原さん、よかったら一緒に帰ろう?」

いつもの放課後、竜ヶ峰君が私にそう言ってくれた。
優しい、優しい、竜ヶ峰君。

会って仲良くなってからずっと、紀田君がいなくなってしまってからも、ずっと。
私なんかと一緒にいてくれる。話してくれる。

彼はかけがえのない、友人。・・・だと、思う。

けれど最近、彼は時折別人の香りを纏うようになった。

優しい彼の笑顔は変わらないのに、纏う空気が違う。
きっとクラスの誰も気付いていない。

どうしよう、彼が離れていってしまう。
引き止めたい、引き止めたい。


『なら、“愛して”しまえばいいのよ』


ざわり。内に潜む魔物が囁く。

『何を迷うの?“愛して”しまえば、彼は離れていかないわ。
ずっとあなたと一緒よ?ずっと、ね』


「・・・さん、園原さん!」
「・・・え・・・?」
「どうしたの?具合わるいの?」
「あ・・・、いえ・・・」

おろおろと、心配した様子で私を見ている彼。

(ああ、今はいつもの竜ヶ峰君だ)

もしかしたら私の中の罪歌のように、彼の中にも何かが潜んでいるのかもしれない。

(でも それもまた 彼 なんだろうか)

それでも。

じわじわ、侵食していくように。
今のこの優しい彼を消していってしまう。

もしそうならばその時は。

「何でもありません」


ふか ふか    あいそ
赤く、赤く、彼を染めよう。







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